ハッキーサックは楽しいんだが、
いかんせんマニアックな遊びすぎるのか、
なかなか人が集まらない。
残念なことにやりたがりはおればかり。
なんとかレギュラー陣を集めたい。
みんな何かと忙しい。
仕事で休みがなかったり、
子供ができて独身組とは違うリズムで遊んでたり、
休日はバイトだったり、
それ以前に、東京に住んでるわけじゃなかったり。
もうみんな学生のころとは違う。
もう社会人なんだ。
みんなの目の前にある現実は確実に変わってしまった。
じゃ、おれの目の前にある現実はどうなんだろう?
しかしそれがどうあったとしても、
人の目にはきっと大した変化には映らないんだろうな。
「おまえは変わんねーなー。」
そんな声が聞こえてきそうだ。
そう。その通りかもしれない。
確かに故郷に戻り、
満員電車に揺られて会社に働きに出るようにはなった。
おれも紛いなりにも"社会人"の仲間入りをしたつもりではいる。
これはおれにとっては決して小さな変化じゃあない。
にしてもそれはごくごく当たり前のことでもある。
おれにとって変化とは、
結局のところまったくないって言えるんだろう。
変わっていくのは時代ばかり。
おれは何も変わってない。
あんなにたくさんいた友達だけど、
もう以前のようには会えないんだな。
毎日「今日は何する?」なんて言ってた、
暇を持て余して集ってた、
ただ誰かといればそれで良かった、
そんな空気はいつの間にか失われちまってたんだな。
みんな遠くへ行っちまったように感じる。
けれどそいつはみんななりの前進なんだろう。
だからそれを喜ぶことはあっても、
悲しむべきじゃあないはずだ。
けどさ、けどさ、
おれはやっぱりさみしいや。
社会人ってものがこんなものなら、
おれは社会人なんてものになりたくない。
少なくともこれに優先されるべきものがあるんだと、
声を大にして叫びたい。
わがままだって言われてもいい。
子供だってバカにされてもいい。
社会人である前に、おれはおれでありたいと思う。
いつでもいつまでも一緒にいられると思ってた。
そんな親密で豊かな時間が、
あの黄金の日々が、身を切るように痛く恋しい。
おれは、随分さみしがりになっちまったのかもしれないな。